Two notes Torpedo Reload を導入しました!
一言でいえば
DI + アッテネーター + ロードボックス + リアンプ
という、ギターを録音するときに使うツール全部入り的な機材です。
全部入りな機材ですけど、一つ一つの機能が良く出来ていると言うか、良く考えて作られてる機材です。
バランスが絶妙。
もともと、家で録音するときに使うロードボックスとかアッテネーターを探していて行き着いた感じなのですが、これはお薦めです。
とにかくコスパが良い。
Two notes Torpedo Reload
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似たような製品として Universal Audio の OX が話題ですが、そのあたりとの比較なんかにも触れつつ書いてみたいと思います。
まずは一通りの機能の説明から。
Torpedo Reload の機能概要
公式サイトの機能概要を見ると、以下のような感じで説明されています。
- RE-ACT(アッテネーター機能)
- REPLAY(リアンプ機能)
- MATCH(リアンプ時のレベル調整)
- ロードボックス機能
- 楽器用DIボックス機能
- Torpedo Wall of Sound Ⅲ Torpedo Reloadエディション付属
大きく5つの機能と WoS のTorpedo Reload版が付属するという内容です。
MATCH に関しては単体で使うというよりもリアンプの際に利用するものなので、大きく分けて アッテネーター、ロードボックス、DI、リアンプ の4つの機能を使える機材と言う事になります。
なので用途を説明すると下記のような感じかなと。
アッテネーター | スピーカーに送る音量を小さくする。 |
---|---|
ロードボックス | スピーカーを使わずにヘッドアンプを鳴らす。 |
DI | ギターの生(ドライ)音を録音する。 |
リアンプ | 録音済みのドライ音を再度ギターアンプに送る。 |
ポイントとしては、本体にはキャビネットシミュレーターの機能はないと事かなと。
つまりロードボックスの出力にはキャビネットシミュレーターがかかっていないと言う事です。
ちょうど RNDI のスピーカーモードを使った時と同じです。
じゃぁ、どうするの?って話ですが。
キャビネットやマイクのシミュレートに関しては本体ではなくて DAW 上で Wall of Sound を使ってやってくれという感じなんでしょう。
これは、リアンプや DI 機能がついている本機ならではの思想だなと感じますし、完全に録音を前提にしており、後からエディットできる状態の素材を録音するという方向性の機材だと言えるのかなと。
ちなみに「Torpedo Wall of Sound Ⅲ Torpedo Reloadエディション」が付属するとありますが、現在 WoS はバージョン4 になっており、表記も Wall of Sound に変更されています。
説明が難しいのですが、単純に24個のキャビネットが付属するという感じで考えたほうがわかりやすいかなと。
この辺りについては以前書いた「Wall of Sound – キャビネットシミュレータープラグイン」に詳しく書いたので、読んでみてください。
Torpedo Reload の用途別使用例
この手の機材は実際に何が出来るのかが分かりにくいと思うので使用例を書いてみたいと思います。
スピーカーに送る音量をコントロールする(アッテネーター)
RE-ACT と呼ばれている、アンプのスピーカー出力の音量を減らすことが出来る機能です。
一般的にはヘッドアンプとキャビネットの間に使うことが多いと思いますが、コンボのパワーとキャビの間に繋いでもOKです。
「自宅でヘッドアンプを使う」など、手持ちのアンプを小さい音量で使う場合の機材です。
使い方は簡単です。
ヘッドアンプとキャビネットの間に Torpedo Reload を挟むだけ。
ヘッドアンプのアウトと Reload の SPEAKER IN をスピーカーケーブルでつなぎ、Reload の SPEAKER OUT とキャビネットをつなぎます。
調整はフロントパネルの SPEAKER ボリュームコントロールで行います。
10でアッテネーターがかかってない状態。
そこから左に回して行って、0でボリュームゼロの状態。
調整は無段階でできるので、かなり便利です。
段階で調整するタイプの機材もありますけど、個人的にアンプ側は良い感じに設定しておいて、アッテネーターで音量を落としていく感じで使いたいので、とても使いやすいと感じます。
アッテネーターと言うと、通すと音が変わる事を心配する人も多いと思いますが、気になるレベルで変わると言うことは無いと思います。
キャビネットを繋がずにアンプの音を録音したい(ロードボックス)
キャビネットを繋がずに、ヘッドアンプ(パワーアンプ)の出力をそのまま録音する機能です。
この機能を使うだけならキャビネットをつなぐ必要は無いので、SPEAKER IN にアンプの出力を接続して、LOADBOX のアウトをオーディオインターフェースなりミキサーなりに送って録音します。
先ほども書きましたが、この LOADBOX の OUTPUT から出力されている音にはキャビネットシミュレーターは掛かっていません。
ここが Torpedo の他の機種や OX との最大の違いだと思います。
同じ録音するにしても、
キャビネットシミュレーターをかけた状態の音を録音するのか、
キャビネットシミュレーターが掛かっていない状態の音を録音するのか、
というアプローチの違い。
ギタリスト目線で「弾いて、録音して、終わり。」ならどっちでも良いというか、むしろ弾いた時点で自分の音を確定したいと思う人が多いのかなと思いますが、エンジニア的な視点で考えたり、ギターを素材として捉えると、後から加工しやすい状態の音で録音されていた方が楽だったりしますよね。
結構好みが分かれるのではないでしょうか。
Universal Audio OX は試奏したことしかないので、キャビネットシミュレーターをOFFにして単純にロードボックスとして使えるのかは分からないのですが、基本掛け録りで使う想定の機材だと思うので、この辺りにコンセプトの違いが出てくるのかなと感じます。
UNIVERSAL AUDIO OX
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ちなみに、SPEAKER OUT と LOADBOX は同時に使えるので、自宅で録音する際に「アッテネーターで音量を抑えた音をモニターしながら LOADBOX の音を録音する」という使い方もできます。
というか、これが一般的ですよね。
ギターの生音を録音したい(DI)
これは完全にリアンプや DAW でアンプシミュレーターを使う事を前提にしている機能だと思いますが、ギターの生音、つまりギターから出た音をそのまま録音する機能です。
が、最近のオーディオインターフェイスには Hi-Z 端子が付いてるので、DI使わなくてもそのままギターを録音することって出来るんですよね。
ベースだと DI に拘ることもあると思いますが、ギターではあまり無いのかな…っと。
この辺りは RNDI の時にも書いたのですが、ギター録音時の DI 役割って、DI アウトとスルーを同時に使う事で、ドライ(生音)とウェット(アンプ)を同時に録音したり鳴らしたりするためだと思うんです。
普段の機材で気持ちよく演奏して、そのノリのままドライ音を録音しておいて、DAW 上で BIAS AMP などのアンプシミュレーター使って音を後から作っていくような使い方。
Positive Grid / BIAS AMP 2.0 Standard
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この意味で考えると、Torpedo Reload の DI 機能は使いやすいとは言えません。
何故かというと、スルーアウトがないから…
「アンプを鳴らした音をモニターしながらドライを録音する」事が出来ない訳じゃないですが、面倒というか、ひと手間入ります。
RNDI の時に使った図ですが、普通の DI の場合には下記の図のような感じでスルーアウトがあるので、そのままエフェクターとかアンプに接続して鳴らすことが出来ます。
が、Torpedo Reload の場合にはスルーアウトがないので、下記のような接続を行う必要があります。
- DI アウトをオーディオインターフェイスの入力へ接続しドライ音を入力
- 入力された信号をオーディオインターフェイスの出力経由で REPLAY 機能の LINE IN へ入力
- REPLAY AMP OUT から出力された音をアンプのインプットやエフェクターへ送る
当然、その際 MATCH 機能で適切に調整しないと自分が意図した音ではなくります・・・
ここが個人的には気に入らない、というかなんでスルーアウトを付けてくれなかったのかなぁ、と感じる部分ですね。
上記のような接続をすればモニターしながら録音は出来るので、必須の機能ではないですが、使い勝手はかなり変わるかなぁっと。
DI の音に関しては、可もなく不可もなくと言ったところで、使ってるインターフェイスの Hi-Z 端子のクオリティ次第かなという感じです。
消して悪くはありません。
アンプを鳴らして録音し直したい(リアンプ)
REPLAY と呼ばれているリアンプ機能です。
予め録音しておいたギターのドライ音を使って、後から再度アンプ通して録音し直す機能です。
かなり一般的になってきた手法ですよね。
レコーディングの際にギターから出たそのままの音(ドライ音)も一緒に録音しておいて、演奏はそのまま使って音作りだけ後から行うことが出来る便利な機能です。
リアンプには様々なメリットがありますが、Torpedo Reload が狙っているところとしては、自宅でアンプを鳴らさずに DI で録音しておいた音使って、後日スタジオでアンプを鳴らして自分のイメージしている音で録音し直す、と言った感じでしょうか。
それ以外でも、エンジニア兼プレイヤー的なアプローチで作業する場合には、「録音する時点ではプレイヤーに徹して、後からリアンプする際にエンジニアとしてとことん詰める」みたいな使い方もあるかもしれません。
さて、で、ここで使うのが MATCH というレベル調整機能です。
これがかなり使えるんです。
MATCH 機能について
リアンプの際に一番重要なのは、録音しておいたドライ音をどのくらいの音量でギターアンプやエフェクターのインプットに送るかと言う部分です。
この音量が普段の音量からズレればズレるほど、イメージしている音からかけ離れていくと言うのは、ギタリストならお判りいただけるのではないかと。
例えば、録音時の音量よりも大きい音量で出力してしまえば、クリーンブースターでプッシュしてる状態と同じになってしまう訳で、歪ませてるつもりのない音色でも歪んでしまったりデジタル系のエフェクトでクリップしてしまいます。
逆に録音時よりも小さい音量で出力してしまうと、ギター側でボリュームを絞ったような状況になってしまい、歪んでるはずの設定なのに歪かたが弱かったり、っと音がイメージと違う感じになってしまう訳です。
「録音した状態のままでフェーダーとか弄らなければ同じになるでしょ。」って感じるかもしれませんが、おそらくなりません。
そもそも、DI アウトの時点でレベルが変わっているので。
なので、リアンプボックスからアンプやエフェクターに送る時点で録音時の音量と同じになっていないと意図通りの音になりにくい訳です。
が、これを調整するのが面倒なんですよ。
一番簡単なのは、録音するときに使ったギターで同じフレーズを弾いた後に、リアンプボックスから出た音につなぎ直して、同じ音量になるように音量を調整することですが、面倒ですよね・・・
そんなときに使うのが MATCH 機能です。
使い方は簡単。
フロントパネルの INST IN にドライ音を録音した際に使ったギターを接続し、REPLAY の LINE IN に DAW から録音済みのドライ音を入力し再生します。
この状態で、再生されたフレーズに合わせてギターを弾くと、MATCH インジケーターで REPLAY の LINE IN に接続された音と、 DI に接続したギターの音を比べてどちらが大きいか小さいか視覚的に見る事が出来ます。
これを見ながら、REPLAY レベル調節ノブで MATCH インジケーターが緑になるように音量を調整すれば録音時に使ったギターをアンプやエフェクターに挿している状況と同じ設定のままで録音が行えると言う訳です。
これ、かなり画期的じゃないかなと思います。
「録音時のことなど気にせずに LINE IN に接続された音で最高の音を作れば良い」というのも一つのアプローチだと思いますけど、ギタリストとしてはいつも自分が使ってる機材をいつも使ってる状態で使った音を録音した音思うものですよね。
そういう時には MTACH 機能は相当使えるのではないかと思います。
使ってみての感想
っという感じで言葉でばーっと説明してきましたが、感想をまとめるならば、単純に「コスパが良い」の一言です。
安い機材では無いですが、アッテネーター、ロードボックス、DI、リアンプ の 4つの機能が一つになったハードウェアと、WoS の 24個のバーチャルキャビネットがセットになった商品だと考えるとむしろ安いのではないかなと。
多機能な製品ですけど、一つ一つの機能が高品質で好感が持てます。
ちなみに、各機能は独立しているので単体でも使えますし、全部一緒に使う事も出来るので、柔軟な使い方が出来るのも魅力かなと。
Two notes の製品は、用途別にうまくラインナップされていると感じます。
逆にそこがとっつきにくい印象を与えている感じもしますが…
残念ながら店頭で見かける機会が殆どないのですが、この手の製品を探しているのであれば、かなりおすすめなので試してみてください。
Two notes Torpedo Reload
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“Torpedo Reload – コスパ最強のギター宅録ツール全部入り機材” への3件の返信